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コストプラスフィー契約とは?中小建設会社が備える原価の記録

コストプラスフィー契約の仕組みと国交省の検討状況を整理し、建設業の中小企業が今から備えたい工事別の原価記録の進め方を、現場目線で具体的に解説します。

コストプラスフィー契約とは?中小建設会社が備える原価の記録
目次expand_more
  1. 3分でわかる要点(経営者向け)
  2. コストプラスフィー契約とは?
  3. 国土交通省の検討会では何が議論されているのか?
  4. 中小建設会社にとってのメリットと負担は?
  5. 原価を「見せられる状態」にするには何が必要か?
  6. 実例:現場の打刻を労務集計につなげた事例
  7. 実例:実際にかかった費用から原価を出す事例
  8. 現場では何が変わる?
  9. 導入の第一歩
  10. データが揃った後、AIで何ができるか
  11. よくある質問
  12. 中小の建設会社でもコストプラスフィー契約に対応できますか?
  13. 原価管理の仕組みづくりに、費用はどのくらいかかりますか?
  14. 仕組みづくりに期間はどのくらいかかりますか?
  15. 今使っているExcelや会計ソフトはどうなりますか?
  16. まとめ
  17. この記事を書いた会社

資材価格が上がっても、契約後に請負金額を動かしにくい――。そんな悩みを抱える建設業の中小企業は少なくありません。国土交通省の検討会では、実費に報酬を上乗せして支払う「コストプラスフィー契約」が議題に挙がっています。この契約では工事にかかった原価を発注者に開示する場面があるため、建設業の原価を日々記録できているかどうかが、これからの備えの分かれ目になります。

※本記事は2026年11月2日時点の情報に基づいています。

3分でわかる要点(経営者向け)

  • 問題:総価(ランプサム)契約では、資材高騰や工事内容の変更があっても、増えた費用を請負金額に反映しにくい。
  • 変わること:コストプラスフィー契約では実費を精算するため、価格変動を受け止めやすくなる一方、原価の記録と報告が必須になる。
  • 最初の一歩:新しい契約を待たず、まず1つの工事で「材料・外注・労務」を工事別に毎日記録する運用を試す。

コストプラスフィー契約とは?

コストプラスフィー契約は、かかった費用を精算し、決めた報酬を上乗せして支払う契約方式です。

コストプラスフィー契約とは、工事にかかった実費(コスト)を精算し、あらかじめ合意した報酬(フィー)を加えて支払う契約のことです。契約金額を先に固定する総価契約と違い、実際の工事費に応じて支払額が増減します。

オープンブック方式とは、施工者が工事費に関する情報を発注者に開示し、発注者または第三者が確認する方式のことです。この2つを組み合わせたものが「オープンブック・コストプラスフィー契約(OBCF)」です。

国土交通省の調査報告書では、報酬(フィー)の決め方として次の3種類が整理されています。

  • 固定パーセント:実費に対して一定の割合を報酬とする方式
  • 定額:実費にかかわらず、あらかじめ決めた金額を報酬とする方式
  • インセンティブ:コストを節約できた分の一定割合を報酬に加える方式

出典:国土交通省『オープンブック・コストプラスフィー契約に関する調査報告書』(令和8年3月)

国土交通省の検討会では何が議論されているのか?

2026年11月2日開催の「入札・発注ワーキンググループ」の議題に、オープンブック・コストプラスフィー契約が含まれています。

このワーキンググループは、国土交通省の「持続的な成長産業としての建設業のあり方に関する検討会」の下に置かれています。検討会は、2017年の「建設産業政策2017+10」から約10年を迎えることを受けて設置されました。第2回の議題には「平時における入札・発注のあり方について」と「オープンブック・コストプラスフィー契約について」が挙がっています。

ただし、現時点で中小企業の一般的な工事にこの契約が広がると決まったわけではありません。調査報告書によると、国内では標準的なルールが未整備で、事例数も限られています。日本では、災害復旧など早急な発注が必要な工事や、物価高騰・調達リスクへの対応が必要な工事で事例があるとされています。

出典:国土交通省『「持続的な成長産業としての建設業のあり方に関する検討会 第2回 入札・発注ワーキンググループ」開催について』

中小建設会社にとってのメリットと負担は?

資材価格の変動を受け止めやすくなる一方で、コストの記録と報告の負担が増えます。

調査報告書が示す施工者側のポイントを、中小の建設会社の目線で整理すると次のとおりです。

  • メリット(支払い):資材価格などの変動に応じた支払いを受けやすくなります。
  • メリット(利益):節約時のインセンティブを得られる場合があり、利益率が安定しやすくなります。
  • 負担(記録):コストの記録・報告の負担が生じます。
  • 負担(上限):最大保証価格(GMP)を超えた分は、基本的に施工者が負担します。

つまり、この契約で差が出るのは、工事の腕前より先に「原価をどれだけ正確に、早く出せるか」です。原価の把握が弱い会社ほど、記録の負担を重く感じることになります。

原価を「見せられる状態」にするには何が必要か?

材料費・外注費・労務費・機械経費を、工事ごとに日々記録できる状態が必要です。

多くの現場では、材料の請求書は事務所、作業時間は現場の日報、外注費は別のExcelと、情報が分かれています。原価を工事別に集めるだけで月末に数日かかる、という声もよく聞かれます。ここは、システムを入れる前に運用の見直しで改善できる部分が大きい領域です。

原価を見せられる状態にする5ステップの図

現場では、入力の手間が1つ増えるだけで使われなくなります。そのため、記録は「現場で1回入力すれば、事務所の集計まで届く」形にするのが理想です。

実例:現場の打刻を労務集計につなげた事例

労務費は、原価の中でも現場の記録に頼る割合が大きい項目です。この点で参考になるのが、GPS連動型の勤怠管理モバイルアプリの開発事例です。

  • 課題:建設・警備・ホテル清掃などのフィールドワーカー企業様で、直行直帰の出退勤の実態把握と、管理部門の勤怠集計に手間がかかっていた。
  • 支援内容:スマートフォンのGPSと連動して現場で打刻できるアプリと、勤怠データを一元管理するクラウド管理画面を開発。
  • 期間・体制:約3ヶ月 / 3名体制
  • 成果:不正打刻の防止と、労務集計作業の完全自動化。

この事例は、現場の入力を1回で済ませ、集計を自動化するという考え方が、工事別の労務費の記録にも応用できることを示しています。勤怠アプリの選び方は、GPS勤怠管理アプリの導入ポイントで詳しく解説しています。

実例:実際にかかった費用から原価を出す事例

材料や加工にかかった実費から原価を算出する考え方は、製造業の事例にもあります。中小製造メーカー様のOdoo導入事例(製造業・部品加工とアセンブリ)では、部品表(BOM)をもとに実際原価を算出するモジュールを開発しました。開発期間・体制は約4ヶ月 / 4名体制で、製品ごとの実際原価と利益率を正確に把握できるようになっています。実費を集めて原価を出す仕組みづくりは、工事別の原価集計にも応用できます。

現場では何が変わる?

原価の記録を整えると、現場・事務・経営のそれぞれで作業の流れが変わります。

  • 現場作業者:Before は日報や伝票を紙で書き、事務所に渡していた。After は工事コードを選んで1回入力するだけで、集計まで届く。
  • 事務担当:Before は請求書や日報を工事別に拾い直して転記していた。After は工事別の原価が自動で集まり、確認と修正に集中できる。
  • 管理者・経営者:Before は工事が終わってから赤字に気づいていた。After は進行中でも予定と実績の差を見て、追加費用の相談を早く始められる。

導入の第一歩

最初の一歩は、1つの工事に絞って、材料・外注・労務を工事別に毎日記録する試行です。

START SMALLの考え方で、まず1工事だけで2〜4週間ほど試し、記録の手間と集計にかかる時間を測ります。準備するものは、工事コードの決め方、記録する人、確認する人の3点です。Excelでの記録から始めても構いません。入力の手間で現場が疲れるようなら、そこで初めて仕組みの見直しを検討します。

ERP(会社の販売・購買・会計などの情報を1つにまとめる業務システム)で工事別の原価を集計する選択肢もあります。進め方の全体像はOdoo導入の進め方と期間の目安にまとめています。

データが揃った後、AIで何ができるか

過去の工事の原価データがそろうと、類似工事の実績を探したり、見積の下書きを作ったりする使い方が見えてきます。AIを活かすには、先に業務とデータを整えることが前提です。進め方はAI業務自動化の進め方で、建設分野のAI動向は国交省「フィジカルAI戦略」の解説で紹介しています。

よくある質問

中小の建設会社でもコストプラスフィー契約に対応できますか?

場合によります。今の時点で標準ルールは整っておらず、事例も限られるため、対応できるかどうかは発注者との取り決め次第です。ただし、原価を工事別に記録する運用は、契約形態にかかわらず利益管理に役立ちます。

原価管理の仕組みづくりに、費用はどのくらいかかりますか?

対象範囲によって大きく変わるため、一概には言えません。Excelや運用ルールの見直しだけで済む場合もあれば、システム化が必要な場合もあります。まず現状の記録方法を整理するところから相談できます。

仕組みづくりに期間はどのくらいかかりますか?

内容によります。参考として、前述の勤怠アプリの事例は約3ヶ月、Odoo導入の事例は約4ヶ月で本稼働まで完了していますが、これは目安であり、期間を約束するものではありません。

今使っているExcelや会計ソフトはどうなりますか?

引き続き使える場合があります。業務を整理したうえで、Excelに残す部分と、システムに移す部分を分けて考えます。すべてを一度に入れ替える必要はありません。

まとめ

  • コストプラスフィー契約は、実費に報酬を加えて支払う方式で、国土交通省の検討会でも議題に挙がっている。
  • この契約に備える鍵は、工事別の原価を日々記録できる運用にある。
  • まず1つの工事で2〜4週間試し、記録の手間と効果を測るのが安全。

DGテクノ株式会社は、現場の入力負荷を増やさずに原価を見える化する進め方を、業務の整理から一緒に考えます。進め方はご支援の流れでご覧いただけます。また、仕組みづくりの全体像はOdoo ERP 導入・運用で紹介しています。

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この記事を書いた会社

DGテクノ株式会社(東京・新橋)は、製造業・建設業を中心に、AI活用・Odoo ERPの導入と運用・AIネイティブなシステム開発を、構想から運用まで支援しています。Odoo Learning Partner。

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